軍荼利明王とクンダリーニ女神
八十九です。
前回、私が逃げを打った話でした。
東大寺の不動堂へ行って、軍荼利明王様と少し御縁ができたかもしれませんが、私は若いころから明王信仰に不案内でした。
お不動様ですら最近まで真言を憶えようとしなかったのですからこのやる気の無さは本物です。
ですが・・・そうとばかりは、言ってられませんので、軍荼利明王様がどのような仏様なのか知る必要があります。

密教の五大明王の一つ、
不動明王様を中心にして南方に配される明王様のようです。
怒りの相を表わして阿修羅、悪鬼を折伏して甘露を以て、衆生を資益するということです。
語源は「とぐろを巻いた蛇」、
「甘露(不死の霊薬を入れる壺)」、
という2つの意味があるそうです。
蛇は煩悩の象徴。
執念深さを現すとされ、軍荼利明王が煩悩をこれ以上ないというほどに打ち砕くという意味です。
また甘露(不死の霊薬)という意味から息災延命のご利益に優れています。

そして「軍荼利・クンダリ」は古代インドでは「とぐろを巻いた蛇」という意味ですから、
軍荼利明王に巻きつく蛇は、蛇の毒によって煩悩を打ち払う、という意味の象徴となります。
ふむふむ、ん~?具体的にはどういうことでなんでしょうね?
なんと!この蛇!!
人体に内在するという「生命エネルギー」つまり”性的なエネルギー”だそうです。

この性的エネルギーのことをクンダリニーといい、
シヴァ神に力を与える女神:シャクティーでもあるそうです。
そうなんです!!軍荼利明王様は実は、女神だったのですね・・・びっくり!
クンダリニー女神は、そのエネルギーを目覚めさせ身体の中芯を上昇させると、エネルギーが螺旋状に運動してシヴァ神のいる頭頂部に到達します。
この時に、人は解脱できるのですが、そのためには、座禅やヨガが必要なんだそうです。
毒蛇に代表される煩悩ですが、その毒の力で滅するというのですから、毒を以て毒を制すということですよね。
どうやら蛇とは切っても切れない明王さまのようです。
さてさて、ここで考察しましょう。
軍荼利明王の語源となるサンスクリット語の「クンダリニー」は、ヒンドゥー教の女神ですが・・・
実は夜叉とも考えられています。
身体の中の性的エネルギーが解脱に必要となるパワーだとして、「クンダリーニという女神」と解脱の考え方がどうして仏教に取り入れられたのか。
そして日本に伝わる過程の中国で、女神のクンダリニーはなぜ男尊の「軍荼利明王」となったのか。
なぞですね~。
ただ・・・私が東大寺不動堂で見たヴィジョンが、
軍荼利明王様であるのならば、軍荼利明王様は本当に女神なのかもしれませんね。
つづく