囚われの龍「左衛門」5 (アメブロ過去記事から)

竜胆です。

アメブロの過去記事を順次こちらに移しています。

よかったらどうぞご覧ください。

2023年6月の記事です。

囚われの龍 5

竜胆です。

『囚われの龍「左衛門」』の続きになります。

神さまの

こいつ、いるか?

というお言葉に

「いえ、いりません。」と答えた八十九爺ですが続けて左衛門に話しかけました。

八十九

なぁ左衛門、でもまだ、全然…。

まあ、気持ちはわかるけど…

言ってることは分かるし、だいぶ自分なりに反省してるとは思う。

人間なんて、言えば、あかんことばっかりやる存在やん。

その人間に対して、いちいち左衛門がそうやって、罰を与えてたら立ち行かんよ。

なんで、そうなるんかっていうのを考えようと思うんやったら、俺も最近、知ったばかりやけどな、やっぱり“空 くう”を理解せんとあかんのとちがう?

“空”な、

“空”ってなんや。

と左衛門。

八十九

お前な、寺の横で何百年もおって、

分かってないん⁈

とちょっと呆れて八十九が言うと、

坊主はいっつも説法してたけどな、くだらんこと言うとるなと思ってたから、

全然わからん。

八十九

いや、お前な、“空”がわからんかったら、今のお前の話は全然解決できひんと思うで。

あー、そうなんか…

と左衛門が言うと、不思議なことにパラパラと鎖が溶けました。。

左衛門はもはや龍の形を保ててなく、ドロドロに溶けた何かになっていたのですが、それが鎖も溶けてぱーっとぐるり一回りしたら、なんと龍の姿になりました。

八十九

お一!何⁈  何か変わったん?

と八十九爺が驚いていると

どうやらこいつ、きっかけを見つけたようや。

そう、“空”か、“空”でええな。

ちゃんとこいつにそれを学ばせよう。

と産土神さまがおっしゃいました。

まだ、社で学ぼうと思う。悪かったな。

と左衛門が言いました。

こいつ、いるか? 

と産土神さまが重ねて聞かれました。

八十九

いえ、いりません。

分かった。連れて帰るわー。

と左衛門を連れて帰られました。

八十九は先日から、“空”について勉強していました。その概念を理解してなかったら、この話、左衛門に言ってやれなかったなと思いました。

ちゃんと、勉強するようになってたんですね。

次回にその『“空”について』の記事をご紹介したいと思います。