マグちゃんのお話6です。2023年7月24日の記事です。
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八十九です。
南河内の空に赤い月が浮かんでいました。
後にマグちゃんと呼ばれる得体の知れない巨大エネルギー精霊が私とともにお散歩中
です。
とはいうものの、僅かな電子を獲得して微細な質量を手に入れたであろうこのモンス
ター(怪物というイメージでもありませんが)は、意外にクレバーな受け答えをする
ので、なんだか腹が立ってきました。
「お前さっき、我らのような存在は、その存在自体が完成した”個”であり、完全な存在だ。とか言ってたし、神や仏を知っているとも言ってたな」八十九
「そうだ。完全な個は、個が完全な全体であることを知っていて、完全な全体は全体が完全な個であることを知っている」マグちゃん
「お前という完全な個は宇宙の中心であるかのような言い方や、胡散臭いな」八十九
「まてまて、おぬし達も完全な全体である。けれども完全な”個”を持たぬ物理世界の
者たちであるが故に、時間と空間に縛られ、右往左往しておるのだ」マグちゃん
「なんでー、人間が完全な全体?それって人間も宇宙の一部ってことか?」八十九
「一部?おぬしが宇宙そのものでなくて、一体、誰が宇宙なのだ?」マグちゃん
「誰って・・・誰かな?」八十九
「人という種は我らと同じく完全な全体を構成している。だが残念なことに完全な個を持ってはいない。それが故に”-1”に触れることも見る事もない」マグちゃん
「またそれか?マイナス1がどうしたと言う。マイナス1個のリンゴなんか触れんし見れんぞっ」八十九
「そうだ。おぬし達は完全な個を持たぬから、自分が宇宙である事を理解できないでいる」マグちゃん
「完全な個、完全な個と何度もしつこいな。完全な個を持ったらどうなる」八十九
「クックックッ!解脱、解脱とは完全な個を手に入れる事」マグちゃん
「何をっ!!」八十九
「なぜ怒る、気にくわないのなら成仏・即身成仏も用意するぞっ、これで完全な個を
手に入ることが出来る」マグちゃん
「アホぬかせっ!何でマイナス1に触れる事が出来たら解脱・成仏するんや」八十九
「お主、借金できるか?」マグちゃん
「おう、住宅ローンで苦しんでるぞ、それがどうした?」八十九
「家の値段が”マイナス1個のリンゴ”だと仮定してみろ。お主は時系列をたどって、ち
ゃんとマイナス1個のリンゴを手に入れている。違うか?」マグちゃん
「まだ全部返してないけどな、嫌なことを言う奴や」八十九
「ほら!マイナス一個のリンゴは実在する。ただ触れれないし見えないだけだ。お主たち
は五感でしか存在を理解しない。それは愚かな事だと思わんか?」マグちゃん
「はいはい、愚かかもしれん。しかし、それが解脱や即身成仏とどう繋がる」八十九
「お主、解脱や即身成仏した者を見たことがあるのか?」マグちゃん
「有るわけ無いやろ」八十九
「そうだろう、それでよい。解脱や成仏などという”状態”は存在しないのだ。あるのは
マイナス1個のリンゴと同じく、解脱や成仏という見えない概念なのだ。この物理世界で
は、それは結実しない。しかし、それは確実に存在するのだ」マグちゃん
「解脱が見えたり触れたり出来ない概念であることぐらい、お前に言われずとも知ってる。
人は苦しみながら生きるが故に解脱を望むんや。無理とわかっててや。成仏も同じで、死
んで仏になって煩悩から解き放たれたいから成仏を望むし、生きている間に成仏したい者
がおってもええやないか!!」八十九
「もう一度言う、有る(1)と無い(0)は、この次元では対極に位置するように思考する。
だが神仏の説く世界にあって
(1)の対概念は(-1)だぞ。
(0)ではない”0”はどこまでも”0”だ。
そして”0”は(1)や(-1)とは違う。
”0”は無であり全てでもある」マグちゃん
「へっ、お前の理屈を突き詰めると今まで数直線上のマイナス話だと思っていたが、
実は複素平面上の虚数(i)の話でした、と言っているように聞こえるけどな」八十九
「大体はそういう理解で良いだろう。我が学んだこの次元の理(ことわり)は、物理的身
体から意識を別次元に上昇させねば煩悩というギフトがお主たちから離れる事はないのだ。
物理的次元に居ながら煩悩を身の内から無くすことは”死”を意味する」マグちゃん
「では釈迦はどうなる。釈迦は解脱して仏になったぞ」八十九
「そうか?私の見てきた事実では、釈迦は悟りを得て如来になったのだ」マグちゃん
「如来になったのなら仏だろう」八十九
「釈迦は悟りを得て自らを如来と呼んだが、あの時の如来という言葉には”仏”という
意味はなかったようだ。強いて言えば如来とは、自分は”法と一体となった”という
意味であり如来が仏として認識されるのはもっと、ずっと後のことだ」マグちゃん
「では、釈迦は仏ではないのか?」八十九
「釈迦の仏教にあっては自らが悟り、真理に合一しなければならない。”仏”が人を救う
なんて、とんでもないことだ。そのような建付けの真理であればこそ、彼はいま充分に
”仏”なのだ。完全な個を得て、己が完全全体であった事を、己の修行が間違っていな
かった事を自覚しているはずだ」マグちゃん
つづく